薬のこと |
受診から薬をもらうまで
薬をもらってから
上手な飲ませ方
●薬の種類
・シロップ・液体飲み薬
・粉薬
・漢方薬
・坐薬・浣腸剤
・点眼薬・点耳薬
・塗り薬
・はり薬
●薬の目的
解熱鎮痛薬・抗生物質・鎮咳薬・去痰薬・気管支拡張薬・抗ヒスタミン薬・消炎酵素薬・抗ウイルス薬・抗けいれん薬・下痢止め・便秘薬・吐き気止め・乳糖分解酵素・鉄剤・総合感冒薬・抗アレルギー薬・ステロイド薬入り軟膏・非ステロイド系抗炎症薬入り軟膏・抗ヒスタミン薬入り軟膏・抗真菌薬入り軟膏・抗ウイルス薬入り軟膏・抗生物質入り軟膏・皮膚保護薬・保湿薬・点耳薬・点眼薬・眼軟膏・口内用の薬 |
|
昼間のうちに必ず一度受診して |
赤ちゃんの病気は、突然始まることがほとんどです。病気の進み方も大人に比べてとても速いですし、悪化するときもあっという間。ですから変だなと思ったら、受診を先延ばしにしないことが大切です。夜中に様態が急変することもしばしばなので、昼間の診療時間内に、必ず一度は受診しておきましょう。
そのためにも、近所にかかりつけの小児科を確保しておくのが大切です。地域の、夜間や休日の診療体制もチェックしておいてください。
|
|
|
|
手術のときは、どうしても麻酔が必要なの? |
医学事典風に説明すると、麻酔は患者の疼痛を薬物で可逆的に除去する手段となります。つまり、手術の間だけ痛みを感じさせないように意識・神経をコントロールして、術後は元の状態に戻すということです。
もし、麻酔をかけずに手術をしたら、痛みがひどくて動いてしまい、手術自体が安全に行えないでしょう。動かないように看護師が患者さんを押さえつけたとしても、患者さん自身の恐怖心を取り除くことはできません。
麻酔が進歩したおかげで、赤ちゃんや子供でも、安全にしかも本人が痛みや恐怖を感じることなく、手術を受けることができるようになったのです。もちろん体力も消耗しないので、回復も早くなります。
ただ、麻酔がかかっている間は呼吸機能や生理的な反射が低下しています。だから、気道(空気が通る道)をきちんと確保した姿勢でないと、呼吸困難を起したり、吐いたものを気道に詰まらせたり、嚥下性肺炎を起す危険があります。麻酔医は麻酔をかけるだけでなく、麻酔が覚めて元の状態にきちんと戻るまで、患者さんの全身状態を管理し、何かあったらすぐ処置を行える態勢を常にとっています。 |
|
赤ちゃんや子供の麻酔は、大人とはどんな点が違う? |
赤ちゃんや子供が大人と違う点はいくつもあります。
まず、赤ちゃんや子供は呼吸機能が未熟なので、呼吸管理がとても重要です。なぜかというと、
①赤ちゃんや子供は気道が細く、ちょっとしたことでも呼吸が苦しくなる
②胸がやわらかいので(胸郭がしっかりできていないので)、陥没呼吸になりやすい
③予備能力が少ないため、短時間でも酸素が不足するとチアノーゼを起すからです。6歳の子なら2~3分間酸素が不足して初めてチアノーゼを起しますが、生後6ヶ月の赤ちゃんだとたった20~30秒間でチアノーゼになります。
また腎臓や肝臓などの機能が大人に比べると未熟なので、薬物を使ったときの効き目の出方、薬物が体の外に出されるまでの時間などが違います。
当然ですが、大人とは体のサイズが違うので、吸入用のマスクなど手術用の器具、装置なども違います。
ですから、赤ちゃんや子供に麻酔をかけるときは、赤ちゃんや子供の手術をたくさんやっていて、経験豊富な施設がいいでしょう。 |
|
麻酔にはどんな種類があるの? |
全身麻酔と局所麻酔(区域麻酔)に大別されます。
全身麻酔は、中枢の神経機能を抑えることで、意識をなくさせ、筋肉を弛緩させ、痛みも感じさせない方法です。
麻酔薬の入れ方は、麻酔薬を静脈に注射する方法(静脈麻酔法)、麻酔ガスを肺に注入する方法(吸入麻酔法)などがありますが、点滴が入っていない赤ちゃんや子供の場合は吸入麻酔法が多いでしょう。吸入麻酔法も、麻酔用フェースマスクを使う方法、気管内挿管をする方法(肺に細いチューブを入れて、麻酔ガスを送る)、ラリンゲアルマスクを使う方法(口の中でマスクを広げる方法)などがあります。
静脈麻酔法と吸入麻酔法を組み合わせるなど、複数の麻酔方法を組み合わせるバランス麻酔法もよく使われます。
局所麻酔は、神経伝達を遮断するもので、意識はあるけれど、体の一部を無痛状態にする方法です。硬膜外麻酔や神経ブロックなどがそれにあたります。赤ちゃんや子供の場合は意識があると、痛みがなくても、動いたり、暴れたりする可能性が残ります。 |
|
なぜ、子供は全身麻酔をかけるの? |
全身麻酔をかけるのは、痛みを取り除くだけでなく、体を動かさないこと、心理的な恐怖を感じさせないためです。大人なら手術の意味やその間の注意事項を説明し、納得していれば、局所麻酔でその部分の痛みをとれば、痛みや恐怖を官位jることなく、手術や検査を受けることができます。
しかし局所麻酔は、意識がありますから、手術室に入ったとき、その風景や見慣れない人が沢山いるのを見ると、赤ちゃんや子供はびっくりするし、恐怖も感じることでしょう。スタッフが手足を押さえて手術をしている病院もないわけではありませんが、子供が嫌がって動いたりするとかえって危険ですし、何よりかわいそうです。
麻酔医がきちんと麻酔をかければ、全身麻酔は局所麻酔よりむしろ安全とさえいえます。 |
|
実際の手術のとき、麻酔はどのようにかけるの? |
1.事前の診察と説明と検査
まず、手術する数日前には、麻酔医による診察と説明があります。
検査は、ごく一般的な血液検査(貧血などの有無)、胸部X線検査(肺に異常はないか)などを行います。
麻酔医は、子供の全身の診察をし、問診を行います。 問診では、
①その子の状態(普段の健康状態、常用薬、発育・発達のこと)
②その子の家族、親族で麻酔をかけたとき何かトラブルはなかったか、薬剤に関するアレルギーがなかったかなどを聞き、全身状態をチェックします。
また、入院や手術は、赤ちゃんや小さい子供でもその子なりに不安やストレスを感じているものです。
不安感を和らげるために、お気に入りのぬいぐるみや就眠儀式(ねんねするときの癖)などを伝えておくといいでしょう。
ご両親も麻酔や手術のことで不安や疑問はきちんときいておきましょう。ご両親が安心すると、赤ちゃんや子供の不安感もやわらげられます。
言葉が通じる年齢の子供なら、その子自身にも、その理解力に応じて、麻酔の説明、マスクのつけ方なども説明します。 |
2.手術直前の診察
手術前日や直前に、子供の診察をして、手術を受けられるkどうか判断します。貧血がひどいときは、体内に運ばれる酸素の量が少なく危険なことがあります。
麻酔は呼吸を抑制するので、風邪など上気道の病気があるとき無理をして麻酔すると危険です。緊急を要する手術はともかく、延期できるものなら、延期したほうが安全です。
手術予定の数時間前から、食事や飲み物(ミルクや母乳も)は禁止という指示が出ます。
赤ちゃんや子供が欲しがるとついかわいそうになるご両親の気持ちはわかりますが、これはとても危険です。ご両親だけでなく、兄弟やおばあちゃん、おじいちゃんが与えることがないよう、よく説明しておきましょう。
|
3.手術(麻酔をかけるところから、覚めるまで)
手術当日は、全身麻酔をかける前に、鎮静剤(甘いシロップ薬など)を投与します。(前投薬)
全身麻酔をかけたあとも、麻酔医はずっと付き添い、その子の全身状態を管理します。
手術の執刀医は手麻酔医が把握し、何かあったとき、すぐ処置できるようにしておくことはとても重要です。
手術が終わりかけのころから、だんだん麻酔から覚めるようにし、意識が戻るまで(1時間程度)麻酔医がその子の様子をみます。 |
4.術後の管理
完全に意識が戻り、子供の安全が確認されたら、病室に戻ります。
大きな手術をしたあとなど、術後すぐ強い痛みがくると回復に差し支えるような場合は、局所麻酔などで痛み止めの処置をすることもあります。
また、5歳以上なら、患者さん本人が痛みを感じるときに、痛み止めの点滴のスイッチボタンを押して、痛みを取る方法(PCA)を使うこともあります。もちろん麻酔医が定期的に回診しています。 |
|
麻酔は絶対安全なの? |
日本で、麻酔医がいる施設で調べたところ、麻酔による死亡は5万~10万人に一人の割合でした。絶対安全ということは断言できませんが、日本で交通事故でなくなる方は年間1万人弱、約1万人に一人の割合なので、(単純に比較するわけにはいきませんが)、決して高い確率ではありません。
きちんとした態勢を整えて麻酔をかければ事故は最少に抑えられるということです。そのためにも、麻酔をかける前に、十分な診察や検査を行うことが大切です。 |
|
|
|
検査のときは麻酔は必要ない? |
CTやMRI、脳波検査などは検査自体に時間がかかるので、赤ちゃんや子供は検査のときじっとしていることができませんし、動くと危険なこともあります。そのため、検査の時間に合わせて、トリクロリールなどのシロップ薬やエスクレなどの坐薬を使って、鎮静させて寝かせる施設がほとんどです。15分くらいですんあんり寝てしまうなら問題はありません。
ただ、なかなか眠れない子、逆に興奮してしまう子に、医師や看護士の付き添いもつかず、安易に鎮静剤をもう一度飲ませるのはできれば避けたいものです。
鎮静剤で寝かしているときは、自然の眠りとは違うので、呼吸や反射も低下しており、吐いたりしたとき、誤嚥や窒息の恐れがあります。
また、おなかがいっぱいだとよく眠るからといって、ミルクと鎮静剤を一緒に飲ませる施設もあるようですが、これも麻酔医からみるととても危険です。
米国ではMRI、CT(時間がかからない機器は別)、心臓カテーテル、血管造影検査、脳血流シンチ、脳は(誘発電位)などは、全身麻酔をかけて検査を行っていますが、日本では検査のときに麻酔をかける施設はありません。麻酔医としては、安全のためには、今後は長時間かかる検査には麻酔をかけたり、麻酔医が鎮静剤投与を行うような方向になることを期待しています。
|
手術前に食事や飲み物を禁止させる理由 |
麻酔中は、薬物を使って寝かせているので、自然の眠りとは違います。胃の中に食べ物や飲み物がたまっていると吐きやすいのです。排他ものが気道に詰まると窒息したり、嚥下性肺炎を起すので、生命にかかわるほど危険です。胃の中をからにしておくことが大切です。
食事や飲み物の制限は増すいいが指示しますので、それにしたがってください。のどが渇いた様子があっても、必要な水分は点滴などで体内に入れているので、脱水になる心配はありません。
|
親がアレルギー体質だと、子供に麻酔をかけるのは危険? |
アレルギー体質といっても、花粉症やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などがその子や家族にあっても、麻酔をかけるときはほとんど問題になりません。
しかし、その子自身はもちろん、家族や親族が、アナフィラキシー(呼吸障害や意識障害など、突然起こる激しいアレルギー反応)を起した経験があれば必ず伝えてください。
また、その子や家族、親族が、抗生物質など薬剤にアレルギー反応を起したことがあれば伝えてください。 |
日帰り手術でも麻酔はかけられるの? |
手術時間が短く、比較的簡単な鼠径ヘルニア、多脂症などの手術の場合は、入院をしないで日帰りで手術を受けられる施設も増えてきました。
手術時間が短いときは、全身麻酔が必要な時間も短いので、時間的には十分可能です。しかし、時間は短くても全身麻酔のケアはきちんとできるように、術後2時間は病院で経過観察ができ、帰宅してから何かあってもすぐ対応できる24時間救急システムが整っていることが非常に大切です。 |
|